Biophilia 14

特集: 「環境遺伝子」研究の最前線(2) 
―化学物質の環境リスクへの取り組み―

      

前号に引き続き「『環境遺伝子』研究の最前線」第2弾を紹介する。

環境ホルモン問題が騒がれた当初、野生動物や実験動物で報告された化学物質による健康被害がヒトにも起きるのか否か、それが、環境中微量化学物質が行動および生殖異常と密接にかかわっていることを裏づける膨大な科学データをひとつひとつ丹念に検証した労作『奪われし未来』(シーア・コルボーンら、1996)の核心をなす問題だった。今回は、それに関連する我々ヒトにおけるデータと知見を、岩本氏、曽根氏に示していただいた。しかし、問題はそれだけではなく、子どもたちの神経発達障害(木村-黒田氏、大竹氏)が懸念されているとともに世界各国で取り組みもなされている(河原氏)。また、巻頭の深田氏には環境中化学物質から未来世代を守るため、新たに取り組んでいる千葉大学の「次世代環境健康学」の紹介をいただいた。

環境汚染問題も含め、化学物質に囲まれたこの地球上での我々の生活にはどのような危険が潜み、あるいは実際に我々に忍び寄ってきているのだろうか。環境中の化学物質の影響から未来世代を守るために、最新の研究とその取り組みを紹介する。

(編集担当:星 信彦)

もくじ

【巻頭言】生命科学の進展に寄せて

関係性の科学の構築を目指して
林良博(東京大学大学院農学生命科学研究科)

【特集】「環境遺伝子」研究の最前線2―化学物質の環境リスク研究への取り組み―

化学物質の影響から未来世代を守るために
深田秀樹、森千里(千葉大学予防医学センター)
発達障害の要因となる神経毒性をもつ環境化学物質
木村・黒田純子、黒田洋一郎(東京都神経科学総合研究所)
胎児期・新生児期の化学物質曝露と発達への影響
大竹貴光(産業技術総合研究所)、許暁彬(武蔵野大学薬学研究所)、加藤進昌(昭和大学医学部精神医学教室)
環境ホルモンの男性生殖機能への影響
岩本晃明(国際医療福祉大学病院)、吉池美紀、野澤資亜利(聖マリアンナ医科大学)
環境化学物質の子どもへの健康影響を探る
男児生殖器異常症のインフォマティクスを用いた疾患感受性遺伝子の探索、一塩基多型(SNP)を指標として―
曽根秀子、米元純三(独立行政法人国立環境研究所 環境リスク研究センター)
子どもたちの健康と環境を守るために
―世界の動向―
河原純子(独立行政法人国立環境研究所 環境リスク研究センター)

【連載】

ヒトの心の発達とその精神病理の理解を目指して 第4回統合失調症の認知機能への神経心理学的アプローチ
松井三枝(富山大学大学院医学薬学研究部心理学)
生き物たちに向けてきたまなざし 第4回ナチュラルデータと取り組んだ歴史
4 21世紀に向けて転換する自然観
西村顯治(慶應義塾大学名誉教授)
ヒトと動物の共生へ 第12回動物福祉って、なんだろう?
―人も動物も幸せになるためのヒント―
本田幸恵(ケンブリッジ大学獣医学部動物福祉・動物関係学センター)

【総説】

植物で作る環境にやさしいプラスチック
―組換え体植物による生分解性プラスチックの生産―
島田浩章(東京理科大学基礎工学部生物工学科)
「植物医師」の養成と「植物病院」ネットワークの構築を目指す
―植物医科学の展開―
難波成任(東京大学大学院農学生命科学研究科)
someone-Biophilia連動企画石油に依存しない新しいエネルギー源のために
―イオン液体を使ったセルロースの常温溶解―
大野弘幸(東京農工大学大学院共生科学技術研究院生命工学専攻)
someone-Biophilia連動企画環境を浄化する細菌
―自然環境中のアナモックス細菌を探し出せ!―
天野皓己、吉永郁生(京都大学大学院農学研究科)、諏訪裕一(中央大学理工学部生命科学科)
NBRP紹介酵母
―究極のモデル生物―
中村太郎(大阪市立大学大学院理学研究科生物地球系専攻)

【インフォメーション】

海外科学雑誌情報 Silva Scientiae IX
久原孝俊(順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター)
Capsula Verborum
悪玉コレステロール : bad cholesterol, low-density lipoprotein-cholesterol(低比重リポタンパクコレステロール、LDL cholesterol)

善玉コレステロール : beneficial cholesterol, high-density lipoprotein-cholesterol(高比重リポタンパクコレステロール、HDL cholesterol)

最高経営責任者 : chief executive officer (CEO)

加齢性疾患 : disease of aging

老化防止 : anti-aging

不老の泉 : fountain of youth

レスベラトロール : resveratrol

ラパマイシン : rapamycin
研究室訪問 Vol.09「スキ」「キライ」のサイエンス

もくじ

【巻頭言】生命科学の進展に寄せて

関係性の科学の構築を目指して
林良博(東京大学大学院農学生命科学研究科)

【特集】「環境遺伝子」研究の最前線2―化学物質の環境リスク研究への取り組み―

化学物質の影響から未来世代を守るために
深田秀樹、森千里(千葉大学予防医学センター)
発達障害の要因となる神経毒性をもつ環境化学物質
木村・黒田純子、黒田洋一郎(東京都神経科学総合研究所)
胎児期・新生児期の化学物質曝露と発達への影響
大竹貴光(産業技術総合研究所)、許暁彬(武蔵野大学薬学研究所)、加藤進昌(昭和大学医学部精神医学教室)
環境ホルモンの男性生殖機能への影響
岩本晃明(国際医療福祉大学病院)、吉池美紀、野澤資亜利(聖マリアンナ医科大学)
環境化学物質の子どもへの健康影響を探る
男児生殖器異常症のインフォマティクスを用いた疾患感受性遺伝子の探索、一塩基多型(SNP)を指標として―
曽根秀子、米元純三(独立行政法人国立環境研究所 環境リスク研究センター)
子どもたちの健康と環境を守るために
―世界の動向―
河原純子(独立行政法人国立環境研究所 環境リスク研究センター)

【連載】

ヒトの心の発達とその精神病理の理解を目指して 第4回統合失調症の認知機能への神経心理学的アプローチ
松井三枝(富山大学大学院医学薬学研究部心理学)
生き物たちに向けてきたまなざし 第4回ナチュラルデータと取り組んだ歴史
4 21世紀に向けて転換する自然観
西村顯治(慶應義塾大学名誉教授)
ヒトと動物の共生へ 第12回動物福祉って、なんだろう?
―人も動物も幸せになるためのヒント―
本田幸恵(ケンブリッジ大学獣医学部動物福祉・動物関係学センター)

【総説】

植物で作る環境にやさしいプラスチック
―組換え体植物による生分解性プラスチックの生産―
島田浩章(東京理科大学基礎工学部生物工学科)
「植物医師」の養成と「植物病院」ネットワークの構築を目指す
―植物医科学の展開―
難波成任(東京大学大学院農学生命科学研究科)
someone-Biophilia連動企画石油に依存しない新しいエネルギー源のために
―イオン液体を使ったセルロースの常温溶解―
大野弘幸(東京農工大学大学院共生科学技術研究院生命工学専攻)
someone-Biophilia連動企画環境を浄化する細菌
―自然環境中のアナモックス細菌を探し出せ!―
天野皓己、吉永郁生(京都大学大学院農学研究科)、諏訪裕一(中央大学理工学部生命科学科)
NBRP紹介酵母
―究極のモデル生物―
中村太郎(大阪市立大学大学院理学研究科生物地球系専攻)

【インフォメーション】

海外科学雑誌情報 Silva Scientiae IX
久原孝俊(順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター)
Capsula Verborum
悪玉コレステロール : bad cholesterol, low-density lipoprotein-cholesterol(低比重リポタンパクコレステロール、LDL cholesterol)

善玉コレステロール : beneficial cholesterol, high-density lipoprotein-cholesterol(高比重リポタンパクコレステロール、HDL cholesterol)

最高経営責任者 : chief executive officer (CEO)

加齢性疾患 : disease of aging

老化防止 : anti-aging

不老の泉 : fountain of youth

レスベラトロール : resveratrol

ラパマイシン : rapamycin
研究室訪問 Vol.09「スキ」「キライ」のサイエンス

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この巻号について

第4巻 第2号 (通巻14号)

Biophilia 14

特集: 「環境遺伝子」研究の最前線(2) 
―化学物質の環境リスクへの取り組み―

発行日: 2008年6月10日

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