Biophilia 15

特集: 「まねる」「化ける」のサイエンス

      

「他の人がやっているのをみると、つい自分もやってみたくなる」。

子どもの頃も、そういえば大人になっても時々湧き起こる「まねしてみたい」欲求、これは文化伝承の根幹となる人間の性らしい。一方、ロボットにコツをつかませる技術のカギもまた、「まねる」であるという。ロボットにやさしく“お姫様だっこ”してもらえる日が、すぐに来るかもしれない。

昆虫や植物の「まねる」は、秋の主役である「コオロギ」や「稲」などの穀物にまつわる話題となっている。まるで死んだようになったり、人間が大事にする穀物そっくりに化けて生き残る、ということのしくみにはどんな秘密があるのだろうか? そして、ミクロの世界をのぞいてみれば、がん細胞の「まね」を新たな治療戦略につなげる取り組みもあるという。

今回の特集は、「まねる」「化ける」をテーマとして、幅広い分野のトピックスを集めた。身近な「まね」を肴に、秋の夜長を暫しお楽しみ頂きたい。

もくじ

【巻頭言】生命科学の進展に寄せて

自由な発想と独立心が新たな地平を拓く
御子柴克彦(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)

【特集】「まねる」のサイエンス

人間は模倣行動で何を得ているのか?
―赤ちゃんの模倣と文化学習―
大藪泰(早稲田大学文学学術院)
「身まね」介護ロボット
―人と接するロボット"RI-MAN"による抱き上げ動作の実現―
大西正輝(独立行政法人産業技術総合研究所)
昆虫が「死んだふり」をするわけ
―コオロギに学ぶ擬死行動の機能としくみ―
西野浩史(北海道大学電子科学研究所)
作物に擬態する雑草
冨永達(京都大学大学院農学研究科)
がん細胞が作る偽の血管
―乳がんにおける血管擬態とEMT―
白川一男(東京大学医学部)

【総説】

NBRP紹介トマト
―次世代モデル植物―
江面浩(筑波大学大学院生命環境科学研究科遺伝子実験センター)
NBRP紹介線虫
―本質的な生命の謎の解明へつなげる―
三谷昌平(東京女子医科大学医学部)
牛乳タンパク質でアレルギーの予防とその症状を軽減する
―牛乳タンパク質の特性を利用した試み―
大谷元(信州大学大学院農学研究科)
someone-Biophilia連動企画細胞機能の力学的制御と細胞外マトリクス工学
原田伊知郎、赤池敏宏(東京工業大学大学生命理工研究科)
someone-Biophilia連動企画理科教育と昆虫生命科学
普後一(東京農工大学大学院・共生科学技術研究院)
七振りの音色
―宮城野のスズムシ―
清水克明(NPO・すずむし里づくり実行委員会)

【連載】

ヒトと動物の共生へ 第13回オオカミの目を通して自然を考える
桑原康生(株式会社オオカミの森 Howlin'Ks Nature School)
生き物たちに向けてきたまなざし 第5回昆虫が(たた)いた新科学の扉
1 顕微鏡下昆虫に見た驚異と内部構造から
西村顯治(慶應義塾大学名誉教授)
インスリンの発見から糖尿病治療薬の開発へ 第1部インスリンの発見とその生合成・分泌
池田衡(株式会社新日本科学)

【インフォメーション】

海外科学雑誌情報 Silva Scientiae IX
久原孝俊(順天堂大学大学院医学研究科アトピー疾患研究センター)
Capsula Verborum
オリンピック : 奥林匹克(国際)運動会(アォリンピクゥ(グォジー)ユンドンホェイ)、奥運会(アォユンホェイ)

水泳 : 游泳(ヨウヨン)

平泳ぎ : 俯泳(フーヨン)、蛙泳(ワーヨン)

背泳ぎ : 仰泳(ヤンヨン)

クロール : 爬泳(パーヨン)

バタフライ : 蝶泳(ディエヨン)

シンクロナイズド・スイミング : 花式游泳(ホァーシーヨウヨン)

鉄棒 : 単槓(ダンガン)

平行棒 : 双槓(シュアンガン)

段違い平行棒 : 高低槓(ガオディーガン)

平均台 : 平衡木(ピンホンムー)

吊り環 : 吊環(ディァオホァン)

鞍馬 : 鞍馬(アンマー)

跳馬 : 跳馬(ティァオマー)

床運動 : 自由体操(ズーヨウティーツァオ)

重量挙げ : 挙重(ジュージョン)

卓球 : (ピンパンチュウ)

テニス : 網球(ワンチュウ)

バドミントン : 羽毛球(ユーマオチュウ)

野球 : 棒球(バンチュウ)

サッカー : 足球(ズーチュウ)

バスケットボール : 籃球(ランチュウ)

バレーボール : 排球(パイチュウ)

棒高跳び : (チョンガンティァオ)

マラソン : 馬拉松(マーラーソン)

競歩 : 競走(ジンゾウ)

金メダル : 金質奨章(ジンジージァンジャン)、金奨牌(ジンジァンパイ)
書評現代(いま)に通じる実験 医学の視点と洞察
―生命科学の時代に待望の古典の翻訳―
『実験医学の原理』(クロード・ベルナール著、山口知子/御子柴克彦訳、丸善プラネット)
 大和田一雄(独立行政法人産業技術総合研究所)

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この巻号について

第4巻 第3号 (通巻15号)

Biophilia 15

特集: 「まねる」「化ける」のサイエンス

発行日: 2008年6月10日

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