Biophilia 17
特集: 毒のサイエンス
「毒」と「薬」は表裏一体の存在である。毒は、からだにとって「害」、薬は「益」、と言葉の意味はまったく逆だが、どちらも「生体に影響を与えるもの」であり、科学的には同じものとして捉えることができる。猛毒に含まれる物質を麻酔などの薬として利用することもあるし、特殊な物質に限らず、身の回りに存在する物質も摂取量次第では毒となる可能性がある。人間の言葉も時として、他人に対しての良薬になることもあれば、精神に作用する毒となることもある。
本特集では、生き物が体内に持つ毒についてまとめた。生物が持つ毒は、身を守るためや、進化の過程で身につけたもの、外部から取り込んだものなどさまざまなものがあるが、毒を持つ理由や自らの毒におかされないわけなど、まだよくわかっていないことも多い。今回は、毒を持つことがよく知られている、フグ、ヘビ、クモ、キノコに加えて、毒を持つことがあまり知られていないウニ、さらに、トガリネズミ、カモノハシといった毒を持つ哺乳類を取り上げ、生き物が身につけた毒の謎に迫る。
もくじ
【巻頭言】生命科学の進展に寄せて
【特集】毒のサイエンス
【総説】
【連載】
【インフォメーション】
Capsula Verborum
胚性幹細胞 : embryonic stem cell (ES cell)人工多能性幹細胞 : induced pluripotent stem cell (iPS cell)
筋萎縮性側索硬化症 : amyotrophic lateral sclerosis (ALS)
筋ジストロフィー : muscular dystrophy
ダウン症候群 : Down syndrome
太陽系外惑星 : exoplanet
ドップラー偏移法 : Doppler shift technique (視線速度法 : radial-velocity technique ともいう)
ホット・ジュピター : hot Jupiter
マイクロレンズ法 : microlensing
コロナグラフ : coronagraph
波面補償光学 : adaptive optics
フォーマルハウト : Fomalhaut (魚座の口の部分に位置する1等星)
膠芽腫 : glioblastoma
高温超伝導体 : high-temperature superconductor
絶対零度 : absolute zero
凝縮系物理学 : condensed-matter physics
プロテオミクス : proteomics
再生可能エネルギー : renewable energy ( recyclable energy ともいう)
燃料電池 : fuel cell
陽子 : proton
クォーク : quark
グルーオン : gluon
格子量子色力学 : lattice quantum chromodynamics
ホラアナグマ : cave bear
ネアンデルタール人 : the Neanderthal