Biophilia 18
特集: 医療の進歩を支えるブタ
新型インフルエンザの発症で、ブタがにわかに“悪者”であるかのような風評が一部でたっている。確かにブタやトリを介してヒトへ感染する新種ウイルスの出現で、国際的協力下の対策が急務であるが、現在は、通常のインフルエンザと同様、ヒト-ヒト間での感染拡大が問題である。冷静な対応のためにも正しい知識の啓蒙が急務である。
本特集は、これまでも実験動物として注目されてきたブタが、近年、臓器不足への切り札としての異種移植、さらに幹細胞を用いた再生医療実現化のためのバイオリアクターとして世界的に注目度が上がってきたという背景から企画した。最近の医学教育、異種再生医療研究、医療機器開発でのブタ使用、さらに、ブタ(実験用ブタ)を供給する体制についての我が国の最新情報を取り上げた。
もくじ
【巻頭言】生命科学の進展に寄せて
生命倫理問題への対処
―ライフサイエンスと社会との関係を考える―
【特集】医療の進歩を支えるブタ
ブタを医学・医療に使う意義
―現状と将来
異種間の臓器移植に夢を託す
光るブタが照らし出す未来の医療
―光るブタの作出とその活用―
ミニブタを使った医療機器(ステント)開発の現状と課題
よりよい医療技術教育を目指して
―医学教育における基本的な動物実習―
コラム自治医科大学「先端医療技術開発センター」
人と地球への貢献を目指して
―医学用ミニブタの供給側から見た開発とその意義―
コラム新しい実験動物:超小型ブタ「マイクロミニブタ」
【総説】
NRBP紹介カイコ
―日本発信のリソースとしての魅力―
バイオエネルギー創製のための環境に優しい新技術
ヒトパピローマウイルス感染と子宮頸がん
―発がんの仕組みの解明とワクチン開発戦略―
スフィンクスの謎に魅せられて
―私のスフィンゴ脂質研究:「スフィンゴ脂質ものがたり」への序章―
someone-Biophilia連動企画陸上植物の祖先「シャジクモ藻類」の進化学
―水中から陸上へのストーリ―
地球温暖化問題に「炭」で取り組む
―炭化におけるカーボンシンクを目指して―
【連載】
ヒトと動物の共生へ 第15回希少動物・オランウータンを救う
―オランウータン人工繁殖への取り組み―
女性研究者を支援する取り組み 第1回―我が国における女性研究者支援の取り組みと現状
【インフォメーション】
研究室訪問 vol.10日本初の公的化合物ライブラリー
―大学発の創薬への扉―
海外科学雑誌情報 Silva Scientiae XI
Capsula Verborum
新型インフルエンザ : novel influenza, new influenzaブタインフルエンザ : swine influenza, swine flu
世界保健機関 : the World Health Organization: WHO
大流行警戒レベル : pandemic alert level
米国疾病対策予防センター : the Centers for Disease Control and Prevention: CDC
季節性インフルエンザ : seasonal influenza
タミフル : Tamiflu (タミフルは商品名、成分名はオセルタミビル oseltamivir )
リレンザ : Relenza (リレンザは商品名、成分名はザナミビル zanamivir )
基本増殖率 : basic reproductive rate
世代時間 : generation time
二次攻撃率 : secondary-attack rate
弱毒生ワクチン : live attenuated vaccine
不活化ワクチン : inactivated vaccine
3価ワクチン : trivalent vaccine
1価ワクチン : monovalent vaccine (単味ワクチンともいう)
アジュバント : adjuvant
高病原性トリインフルエンザ : Highly Pathogenic Avian Influenza : HPAI
重症急性呼吸器症候群 : Severe Acute Respiratory Syndrome: SARS
文部科学省「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」プロジェクト
継続4プロジェクトの紹介