Biophilia 22
特集: クジラをとりまくサイエンス
最近、クジラがニュースで毎日のように取り上げられている。いわゆる捕鯨問題に関するものが多いが、日本はクジラと、それにまつわる哺乳類の研究で世界をリードしている。クジラの生態はまだまだ知られていない面が多いが、近年、どのような生涯を送り、海のなかでどのような活動を営んでいるのか、少しずつ解明されつつある。こうした研究のホットな話題を取り上げ、クジラ研究の現状や課題を考える機会にしたいと思う。今回は新進気鋭の研究者に登場いただき、さまざまな面から、クジラ研究の面白さを語っていただいた。
もくじ
【巻頭言】生命科学の進展に寄せて
ゲノム科学と生き物の科学
【特集】クジラをとりまくサイエンス
―総論―「多様化する我が国の鯨類研究」にあたって
鯨類の進化史とその道のり
keywords: 化石, 大陸移動, 偶蹄類, 水生適応, 環境変動
腸が示すイルカ類の水生適応戦略
keywords: 腸, 水吸収, 浸透圧調節, アクアポリン
イルカ類の鳴音とコミュニケーション
keywords: 音声, 進化, シャチ, 動物の社会, 捕食者
鯨骨が育む深海の小宇宙
―鯨骨生物群集研究の最前線―
keywords: 鯨骨生物群集, ステッピング・ストーン仮説, 化学合成, 共生, サツマハオリムシ
南極海鯨類捕獲調査の目指すもの
keywords: 南極海, クロミンククジラ, 資源管理, 海洋生態系
ヒゲクジラ類はどのように餌場を選ぶのか?
―イワシクジラの研究事例―
keywords: ヒゲクジラ, 海洋環境, 海洋生態系, 分布域推定
鯨類資源の管理と生態系アプローチ
keywords: 水産資源管理, IWC科学委員会, 改訂管理方式, シミュレーション/生態モデリング
【総説】
生物多様性条約COP10の概要と日本の取り組み
keywords: 生物多様性, COP10 , ABS , 2010年目標
視野を広く思いは遠く
keywords: 癌遺伝子, AIDS , 老人病, 動物由来感染症, 食の安全
【連載】
光る生物の応用研究最前線 第4回ウミホタルの光でガンを見つける
keywords: 生物発光, ウミホタル, ルシフェラーゼ, イメージング, ガン
昆虫のふしぎを探る 第2回宇宙を飛んだ虫、ネムリユスリカ その驚くべき環境耐性
keywords: クリプトビオシス, 環境耐性, クマムシ, トレハロース, グリコーゲン
やさしい生命倫理学講座 第3回脳死と臓器移植に関する倫理議論の近年における動向
keywords: 脳死, 臓器移植, 臓器売買, 臓器移植法改定
エコチル調査 第1回子どもの健康と環境に関する全国調査
keywords: 子ども, 健康, 環境, 科学物質
【インフォメーション】
海外科学雑誌情報 Silva Scientiae XV
4,000年前の古代人のゲノム塩基配列
Capsula Verborum
ヒトゲノム(解読)計画 : the Human Genome Project (HGP)永久凍土(層) : permafrost
サカク文化 : the Saqqaq culture
一塩基多型 : single nucleotide polymorphism (SNP)
機能的一塩基多型(SNP)解析 : functional SNP assessment
ネアンデルタール人 : the Neanderthal(Homo neanderthalensis)
真菌 : fungus
マンモス : mammoth
ガナサン族 : the Nganasan
コリヤーク族 : the Koryak
チュクチ族 : the Chukchi
ナデネ族 : the Na-Dene
イヌイット族 : the Inuit
耳垢 : earwax
シャベル状切歯 : shovel-graded front teeth
コイサン族 : the Khoisan
バンツー族 : the Bantu