Biophilia 23
特集: 生物多様性の最前線
推定で、300~5,000万種にもおよぶ生物が暮らす地球。
およそ40億年――
命は、さまざまに姿を変え、この瞬間も進化と絶滅が繰り返されている。
初期の人類、アウストラロピテクスの登場から約540万年。
長い長い命の変遷からみれば、人類の歴史はごくわずかしかない。
しかし、地球の環境は、人類の活動によって、新たなステージを迎えようとしているかにみえる。
この10月に愛知県で開催される生物多様性条約第10回締約国会議、通称「COP10」に先立ち、生物多様性の現状について、最前線にいる研究者からの報告をお伝えしたい。
もくじ
【巻頭言】 生命科学の進展に寄せて
厚生労働省におけるライフサイエンス分野の研究
【特集】生物多様性の最前線
「生物多様性」が抱える問題
keywords: 生物多様性条約, 生態系サービス, 生態系機能, 固有性
なぜ生物は多様になるのか
keywords: 進化, 種多様性, 種分化, 隔離
遺伝的多様性
―その意味と重要性―
keywords: 遺伝的多様性, 遺伝的浮動, 空間的遺伝構造, 自家不和合性, ヘテロ接合度, メタゲノム解析
外来生物の生物学
keywords: 外来生物法, ムシキング・ブーム, カエルツボカビ症, パンデミック
里山と里山にすむ生物
keywords: 里山, 生態系サービス, 国際SATOYAMAイニシアティブ構想, 雑木林, 半自然草地
トキをめぐる生物多様性
keywords: 試験放鳥, 佐渡島, 象徴種, アンブレラ種
【総説】
海棲哺乳類の大量死と感染症
keywords: 海棲哺乳類, 鯨類, モービリウイルス, SLAM
胎児治療の進歩と現況
keywords: 出生前診断, 胎児治療, 胎児鏡手術, 横隔膜ヘルニア, 双胎間輸血症候群, 脊髄髄膜瘤
蛾類昆虫の性フェロモンとその生合成メカニズム
keywords: 性フェロモン, カイコガ, ボンビコール, フェロモンブレンド, EST, 農業害虫防除
【連載】
命って何?~哲学のまなざし~ 第1回現代の生命論が抱える問題
keywords: 命, 自己, 生, 死, 事, 物
昆虫のふしぎを探る 第3回植物の防御機構と昆虫
―植物乳液をめぐる植物と昆虫の攻防関係―
keywords: 植物乳液, パパイン, 糖類似アルカロイド, 耐虫性タンパク質MLX56, クワ―カイコ関係
昆虫のふしぎを探る 第4回昆虫が持っている自然免疫システムとその利用
keywords: 昆虫抗微生物タンパク質, 膜破壊, マイナス電荷, 薬剤耐性細菌, 癌細胞, ミトコンドリア
やさしい生命倫理学講座 第4回研究倫理はなぜ必要か
―臨床研究の歴史から学ぶ―
keywords: 研究倫理, 臨床研究, 科学者の不正行為, 総力戦体制, ランダム化比較試験
【インフォメーション】
海外科学雑誌情報 Silva Scientiae XVI
―「人口細菌」の初めての作製―
Capsula Verborum
マイコプラズマ : mycoplasma人工生命 : artificial life
合成ゲノミクス : synthetic genomics
生物(兵器)テロリスト : bioterrotrist
合成生物学 : synthetic biology
規制当局 : regulatory agency
監視団体 : watchdog group