Biophilia 24
特集: 「におい」最新事情
バラ好きで知られたクレオパトラは、自分が乗る船をバラのかおりで満たし、その香りは遠く陸地にいても漂ってきたという。古代ローマでは、調味料の魚醤の生臭さをやわらげるために香辛料を使い、中世ヨーロッパでは、体臭を消すために香水がさかんに使われた。そして、日本でも古くから香りを愉しむ文化がある。しかし、約40万種類の化合物がにおいを持つといわれていながら、その正体や、ヒトの嗅覚のメカニズムなどについては解明されていない点が多い。今号では、"におい"に関連する基礎知識と工学分野で進められている最新研究をご紹介しよう。
もくじ
【巻頭言】 生命科学の進展に寄せて
種はつながり合い だから多様だ
【特集】「におい」最新事情
においと脳のメカニズム
keywords: におい応答地図, においの「知覚」と「認知」, においの「記憶」と「情動」
リポポリマーベースの複合材料でにおいを識別
―高感度においセンサ
keywords: においセンサ, リポポリマー, 複合材料, 物理吸着膜, 化学吸着膜, QCM
匂いをデザインする
keywords: 感性, 匂い, 嗅覚情報, インタラクションデザイン
におい分子と香料の基礎知識
keywords: におい分子, 香料, 調香, 閾値, GC-スニッフィング
食べ物と香りと
keywords: フレーバー, 香気成分, 成分濃度, 発酵臭
ワイン酵母で大豆飲料を美味しく飲む
keywords: ワイン酵母, 大豆飲料, 甲州ブドウ, ブーケ, アルコール発酵
臭いニオイは元から断つ
―悪臭対策の基礎知識
keywords: 悪臭対策, 脱臭, 生物脱臭法, 吸着法, におい
【総説】
蜘蛛の糸のふしぎ
―クモから学ぶ安全と信頼―
keywords: クモの糸, 2の安全則, 危機管理
生物多様性条約COP10で何がおこったのか?
keywords:
痛みの科学
―ぶつけた向こう脛が痛むワケ―
keywords: 侵害受容器, ニューロン, 電気シグナル, シナプス, 伝達物質
NBRP紹介メダカバイオリソースプロジェクト
―さらなる発展を目指して―
keywords: メダカ, バイオリソース
NBRP紹介実験動物マウス
―世界最高水準のヒトのモデル生物の整備
keywords: 知的基盤, 近交系, ゲノム機能, 遺伝子操作
腹鰭を持つバンドウイルカ
――その学術的価値とは
keywords: イルカ, 腹鰭, 水中生活, 適応, 退化
【連載】
命って何?~哲学のまなざし~ 第2回心という謎
keywords: 心, 魂, アニミズム, 私秘性, クオリア
エコチル調査 第2回─パイロット調査─
keywords: 胎児, 子ども, 環境, 化学物質, パイロット調査
【インフォメーション】
海外科学雑誌情報 Silva Scientiae XVII
─生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)をふりかえる─
Capsula Verborum
締約国会議:the Conference of the Parties(COP)多様性:diversity
生物多様性:biodiversity
生物多様性条約:the Convention on Biological Diversity(CBD)
生態系サービス:ecosystkeywords services
生物的海賊行為(バイオパイラシー):biopiracy
世界自然保護基金:the World Wildlife Fund(WWF)
地球環境ファシリティー: the Global Environment Facility(GEF)
遺伝資源へのアクセスと利益配分:access and benefit sharing(ABS)